One Love 鹿猫
「…!!!」
セブルスは驚いて立ち上がったが、ジェームズが着地するのと腕の中に包まれるのとは同時だった。
勢い余ってジェームズの下敷きになる形で草の上に倒れる。
ジェームズがセブルスに覆い被さりながら、耳元で囁いた。
「つかまえた」
息が少し上がっている。
セブルスはあきれ顔で、ジェームズの肩越しに広がる青空を眺めた。
「今日は、晴れだと聞いたが…なぜ貴様が降ってくるんだ?ポッター。もう少しまともな登場はできないのか…?」
セブルスはそう言いながらも、ジェームズの重みに心地よさを感じていた。
「うん」
ジェームズは全く悪びれた様子もなく、そっとセブルスを抱き締めている。
セブルスはジェームズの匂いに包まれ、温かさに安堵すると意識が遠くなった。
「セブルスあったかい」
ジェームズがセブルスに手を重ねて言った。
「ああ…」
「眠いんでしょ?」
「ああ…」
セブルスは目を閉じて夢うつつに答えた。
「寝ていいよ」
ジェームズはセブルスの顔を覗き込んだ。
セブルスが微かに目を開け、ジェームズを見た。
ジェームズは優しく微笑み、ゆっくりと顔を近付けた。やわらかい口付けに目を閉じると、そのまま心地よいめまいにも似た眠りに落ちていった。
「おやすみ、セブルス…」
ジェームズが囁いた。
しかし、その後の言葉はセブルスには届かなかった。
「作戦成功♪」
授業のない午後、木陰の下に気持ちのよい風が吹く。
ジェームズは木を背もたれにして、自分の膝に頭を乗せて眠っているセブルスの髪を優しく愛しそうに指でそっと梳いた。片手はしっかりセブルスの手と重ね、指を絡めている。
セブルスはジェームズの膝に顔を埋めるように横になり、絡めた指を引き寄せたまま気持ちよさそうに眠っている。
ジェームズを誘うため、シリウスとリーマス、ピーターが木に近づこうとして、セブルスがジェームズの膝で眠っている姿を見て三人とも驚きであ然とした。
セブルスは決して人前で眠らなかったし、ましてやジェームズに寄り添う姿など見たこともなかった。
ジェームズは三人に向かって人差し指を立てた後、得意気にVサインを出した。