One Love 鹿猫


深夜二時。フクロウの昼間。

ジェームズのフクロウこと、ジェームズJrは夜空をゆっくり旋回しながら、音もなくスリザリン寮の窓に止まった。そして器用に窓の隙間から身を捩り、部屋の中に滑り込むと、また翼を広げて飛び立ちセブルスの顔面に着地した。



「…………ぶはッ」

セブルスは羽のくすぐったさと粉っぽさにたまらず飛び起きた。
恨めしそうに、立派なフクロウが膝に乗っているのを見つけると、その首を締め上げた。

ジェームズJrは頭をぐるぐる回しながら、必死に足を差し出している。

セブルスの顔には傷一つ付いていない。

着地する時に爪を立てず腹から降りることを訓練されているらしく、それはわざと顔面に着地させようとした意図が伺えて憎らしい。
しかし、フクロウには罪がない。丸い目を見やりながら大きなため息をつくと、手を離し、渋々足にくくりつけられた手紙を解いて窓を開けて出ていくよう促した。しかし、ジェームズJrはベッドに留まったまま何かを待っている。

セブルスはジェームズJrを、その足を掴んで窓から放り出したい衝動に駆られながらも、荒々しく机の引き出しを開け、羊皮紙の破片を取出した。そして「死ね」と書きなぐるとふわふわした羽毛に包まれている足に結びつけた。

それでも動かない。

仕方なくジェームズから渡された箱の中から干し肉を出すと、ジェームズJrに投げつけた。さすがジェームズのフクロウだけあって、見事にキャッチするとようやく飛び去った。

セブルスは飛んで行くジェームズJrを憎らしそうに見つめた後、小さな明かりを灯して机に向かった。

ジェームズからの手紙はいつも、こってりしたラブレターだった。律儀にも目を通し、他人に見られぬよう鍵付の引き出しにしまうと、提出日にはまだ時間があるレポートに取りかかった。


神経の細かいセブルスは二度寝ができない。もうこんな日が三日も続いていた。
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