ロマンス 犬狼
窓辺にリーマスはいた。
夜空に向かってフクロウを放っている。
振り返った瞬間、黒い犬が飛び掛った。
「シリウス!!!」
大きな体を支えきれず、リーマスは床に押し倒された。
「リーマス!!」
「シリウス!つーか臭ッ!!」
シリウスはリーマスの悲鳴を無視し、その体を抱き締めた。
「遅くなった…」
汗ばんだ肌に、荒い息、熱い体温が全力で走ってきたことを物語っていた。
ジェームズお気に入りの糞爆弾でひどい有様だったが、それでも微かに甘い香水の香りがした。
リーマスが首筋に顔を埋めた。
「僕も急に用事が入ったから、お互い様だよ…」
シリウスは腕の力を強め、リーマスの耳に口付けを落とした。
「嫌なんだ…俺、忙しくて、そうやって大事なことがなおざりになっちまうの…嫌なんだ…ごめん…遅れてごめん…」
腕の力を弱め、そのまま両腕を床について体を起こし、リーマスの顔を覗き込んだ。
「ハッピーバースデー…リーマス…」
リーマスが微笑んだ。
シリウスが顔を近付ける。
何度も啄ばむようにキスを交わしながら、リーマスはそっと壁の時計に杖を向けた。
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