ロマンス 犬狼
「リーマス・ジョン・ルーピン!!」
シリウスは叫んだ。
張り紙の文字が変わった。
“では彼へ愛の言葉を”
「ぶっ殺す!!ジェームズ!!」
シリウスが吼えた。
張り紙が消えかけた。
「ああ!!待て待て!今のは違う!ええっと、その…」
シリウスは深呼吸した。
「……リーマス…その…なんていうか…」
周囲に誰もいないことを確かめ、再び深呼吸をする。
「その…」
拳を握り、目を閉じ、小声で言った。
「愛してる…俺、いっつも馬鹿だけど…愛してるんだ…」
扉が開いた。
「なんでいねーんだよ!!」
そこには飾り付けられた部屋と、チョコレート尽くしのテーブルに、ピーターの姿だけがあった。
「臭ッ!!シリウス臭いよ!」
ピーターが思わず声を上げた。
「やかましい!!リーマスは!?」
「監督生の部屋に急ぎのフクロウが来たみたいで、行っちゃったよ…」
ピーターが扉を見た。
シリウスは必要の部屋を飛び出した。
息を切らし、廊下を走り抜ける。
二本足では足りない。腕を伸ばした。
黒い毛に覆われた前足が地に着き、爪が石床に当たった。
しなやかな体が跳躍する。
黒い犬は監督生の部屋に飛び込んだ。