ロマンス 犬狼
「くそッ!!ツイてねえ!!」
シリウスはジェームズと真っ暗な廊下を走っていた。
背後から管理人のプリングルが走ってくる。
「シリウス!!先に行ってろ!僕が食い止める!」
ジェームズは杖を大きく振った。
派手な爆発音が聞こえ、辺りが煙にまかれた。
「ジェームズ!!てめッ糞爆弾も使ったな!!」
「感謝してよ!これで…」
「するか!!おかげで糞まみれじゃねーか!!俺がこれから誰に会いに行くのか分かってんのか!?」
「分かってるさ!リーマス・ジョン・ルーピン。君の唯一の恋人だ」
「だったらもっと違う呪文を…」
「11時50分!!」
「ああ!!くそッ!」
「あとでいつもの部屋で会おう!!」
シリウスはジェームズを残し、階段を一段飛ばしで駆け上がった。
今日はリーマスの誕生日。正確にはあと10分で終わってしまう。
階段を駆け上がり、廊下を走る。
誰もいない暗がりに飛び込むと、冷えた石壁に思い切り両手をついた。
瞬間、目の高さの石壁に張り紙が出てきた。
“必要の部屋。会員制。合言葉は?(ヒント・あなたが愛している人です)”
「何だコレ!!!」
それはジェームズが、セブルス入室の時を狙って仕掛けた魔法だった。
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