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マスカレード 全員


頬に翼が羽ばたく緩やかな風圧が当たる。

セブルスは目を開けた。
白い首の向こうに絵画のような白い雲を浮かべた青天が広がっている。

重力さえなくなったようだった。
手を差し伸べられ、温かなその手に自分の手を重ねる。
背中に手を回され、抱き合う形でゆっくりと宙を漂った。

(愛されることは素晴らしいことだ)

セブルスの心にエイブリーの言葉がよみがえった。

自分の手を握るその存在に、セブルスはそっと目を伏せ、胸に頬を押し当てた。

自然と涙が溢れた。

急に高度が下がった。
セブルスの涙を見て、恐がらせたと思ったらしい。

「違うんだ…」

セブルスは顔を上げた。


「お前が誰か分からないが、嬉しかったんだ…」


鳥頭の天使はセブルスを強く抱き締めた。











end



題名「マスカレード」アラム・ハチャトゥリアンより
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