マスカレード 全員


壇上で魔法薬学教授スラグホーンが楽しげに口ひげをピクピクと動かしている。
その隣でダンブルドアが、やはり楽しそうにテーブルで顔を上げている生徒を眺めた。

「今年は珍しい薬草が手に入ったそうじゃ」

深くよく通る声が響き渡った。




「今年はバレンタインとして、仮面舞踏会を執り行う」


食堂が騒然となった。







「意味分かんねえ…」

シリウスが談話室のソファーを独占しながら足を伸ばした。

「毎年、もらいすぎることを心配している君には分からないだろうけど…」

リーマスが暖炉の前にしゃがみ込み、マシュマロを暖炉で焙っている。その目は真剣で、マシュマロから目を離さずシリウスに話しかけている。

「お前はもらいたいのか!?誰かから!?」

シリウスが腰を浮かせた。

「当たり前じゃないか?僕にとっては死活問題だ」

「…なんだ胃袋の話か…」

「そうだよ。今年は変な舞踏会だっていうじゃないか?集まるのかな…チョコ…」

「俺が貰ったのをやるよ」

シリウスの言葉にリーマスはわざとらしく溜息をついた。

「あ~あ、これだからデリカシーのない男は嫌なんだ…ねえピーター?」

突然話を振られたピーターは、リーマスの隣でマシュマロに火をつけてしまった。
慌てて吹き消しながら、相槌を打ち、シリウスを見上げた。
シリウスの隣ではジェームズが物思いに耽っている。
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