バランス 犬→猫


「お前、ジェームズより背が高いのか?」

ただ単に事実を調べるような、さほど興味もない口調で言った。

「いつも見てないのかよ…」

「僕はジェームズしか見ていない」

シリウスはいきなりセブルスを抱き締めた。

「くっ…苦しい!離せブラック!」






「…比べんなよ…」

真剣な声にセブルスの抵抗が止まった。
抱き締められたままため息をつく。

「仕方ないだろう…僕はジェームズが好きなんだ。お前だってルーピンを愛しているだろう?」

セブルスは宥めるように静かに言った。

「…俺は、2番目にお前が好きだ」

シリウスが告白した。

セブルスは思わずくすりと笑った。

「僕は5番目に好きだ」

がばっとシリウスが体を離した。

「誰だその四人!!」

セブルスはすまし顔で指折り数え上げた。

「ジェームズ、リリー、ルーピン……………………」

「あと一人だぜ」

シリウスがムッとしながらセブルスを見下ろした。

「ピーター」

「ピーターより下かよ!?つーか今無理矢理言っただろ!!」

「…うるさいな。声がでかいぞブラック。至近距離にいるんだ。静かに話せ」

「…癖だ。いつも遠いから…」

ーお前がーそう言おうとして口をつぐんだ。

「じゃあ、4番目にしてやる」

「2番がいい」

「リリーは譲れない」

「…3番」

弱々しく呟いた。

セブルスは急に背を向けると、シリウスを背もたれにするように体を預けた。

シリウスはためらいがちに背後から腕を回した。

セブルスが目を閉じ、少し仰け反ると、頭をシリウスの胸に押しつけた。

やわらかい重みに、シリウスは肩を丸め、包み込むように抱き締め目を閉じた。


不思議な沈黙だけが漂った。





end.
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