バランス 犬→猫
セブルスは本を抱えのんびり歩いていた。
独りで図書館へ行くのはやはり落ち着く。
廊下の冷たい空気も、緊張感を与え心地よかった。
しかし、目の前からシリウスが走ってきた。
女子生徒二人に追い掛けられている。
ホグワーツ抱かれたい男NO,1。
モテるがその分トラブルも多い。
セブルスは目を合わせないよう俯き、脇に避けた。
その瞬間ふわりと体が浮き、視界がさえぎられた。
「…!?」
一瞬シリウスの横顔が見えた。
シリウスは流れるような動きでセブルスの体を抱え、片手を伸ばし、女子生徒の体にタッチすると開いた壁の穴に吸い込まれるように消えた。
「やられたわ!」
セブルスは遠くで女子生徒の声を聞いた。
どさりとシリウスはセブルスを抱えたまま床に倒れこんだ。
「やった!振り切った!」
胸を大きく上下させ、シリウスが笑った。
窓以外何もない部屋だった。
「おい!ブラック!どういうつもりだ!」
いきなり巻き込まれたセブルスが、怒り心頭な顔で睨み付けた。
「あ…スネイプ…」
シリウスが気まずそうに固まった。
「い、いや悪ィ…この部屋独りじゃ入れないんだ。すぐに出してやるよ」
シリウスは取り繕うように笑い、立ち上がった。
「…フンッ」
セブルスはすばやく立ち上がると、扉に向かって歩き、把手がある場所についている砂時計を掴んだ。
「あ!馬鹿!それに触るな!!」
シリウスが大声を出した。
セブルスが手を離した瞬間、扉が消えた。そして砂時計だけが動き始めた。
「ああ~!」
シリウスが頭を抱えた。
「なんだこれは!?扉はどこだ!?」
あちこち壁を調べる。
硬い石壁は冷たく、床までもが石になっている。
まるで独居房のようだった。
シリウスがため息をつき、戸惑い顔でセブルスを見下ろした。
「ここは遭難の部屋だ」
シリウスの声にセブルスが振り返った。
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