Melty Xmas 鹿猫
「ああ、何でそんなもの…」
ジェームズは慌ててセブルスの口を押さえた。
「まずいよ…セブ…僕たち魔法族はみんな着ているんだよ…知らないの?」
ジェームズが声を低くして、真剣に説明を始めた。
「いいかい、サンタクロースは僕たちと同じ魔法使いなんだ。昔、マグルによって僕たち魔法族が焼き殺されたり、弾圧された時代があっただろう?そんな時代に終止符を打ったのがサンタクロースなんだ。彼は子供たちに夢を与え、自分達が決してマグルに被害を与えないということを自らの体を使って実践したんだ。空を飛び、子供たちにプレゼントを与えて…。体を張ってさ。聞いたことあるだろ…?」
セブルスは首を振った。
ジェームズは大げさに頭を抱え、哀れむようにセブルスを見た。
「毎年、気にはかけていたんだけど…やっぱり知らなかったんだ~…いや、知らないことは罪じゃない!罪なのは知っていても実行しないことなんだ!!でね、話を戻すと、僕たち魔法族にとってクリスマスはサンタクロースを崇める日なんだ。その日はみんな、赤いサンタ服を着て、彼の功績を讃えるのさ!ああ…それにしても君が知らなかったなんて…いや、マグルの世界にいたから無理はないんだけど…」
ジェームズはセブルスの顔色をうかがった。セブルスは落ち込んだらしく、口元に手を当てて考え込んでいる。
「お前は持っているのか…?」
周りを気にしながら聞いてくる。
「うん、もちろん。持っているよ」
「そうか…僕も今から用意しないといけないな…」
セブルスが深刻そうに溜息をついた。
ジェームズは頬がぴくぴくと喜びに引きつるのを必死で抑え、同じような深刻さで言った。
「セブ…それが、もうどこにもないはずだよ…今からじゃちょっと遅いかも…。何ならさ、僕の分を貸してあげようか?」
「お前はどうするんだ…?」
「僕?僕はトナカイになるよ。今回は君の下僕さ!トナカイもれっきとした由緒ある魔法生物だからね」