Melty Xmas 鹿猫
忍びの地図を置いてきてしまったジェームズは、片っ端から棚を渡り歩いた。
セブルスは誰もいない古文書の棚にいた。
ジェームズは声を掛けようとして、棚に隠れ、影からその姿を窺った。セブルスはぼんやりと古びた背表紙を眺め、ゆっくりと歩いている。何かを探しているというより、ただ歩いているといった感じだった。
ジェームズはメモ用紙をちぎり、手の平に乗せると、口の中で呪文を唱え吹き飛ばした。
赤い薔薇の花びらがセブルスの胸元に舞った。
「ポッター…」
セブルスが顔をしかめ、睨み付けた。そして足元に散らかった薔薇の花びらを見つめ、しゃがみこむと、不機嫌そうにそれを拾い集めた。
花びらはすでに紙切れに戻っていた。
「ここは公共の場だ」
ジェームズも楽しそうにしゃがみこみ、紙切れを拾う。
ふと、顔を上げ、床に視線を落としているセブルスの伏せられた睫毛を眺め、白い額を眺めた。
「セブ」
すばやくセブルスの頬に手を添え、顔を近付けた。
触れるだけのキスをする。
「冷たい」
ジェームズが微笑んだ。
セブルスは顔を背けた。
ジェームズの唇は温かかった。その温かさを追いたくなる自分が恐かった。
ハシバミ色の瞳に射抜かれる前に立ち上がった。
「向こうの方が暖かいよ」
ジェームズはセブルスを促した。
誘導しながら、わざと生徒達が座る机の隣に腰掛ける。鞄をちらりと見て、口元に笑みを浮かべながら、大きく深呼吸した。
ー…これからが本番だー
ただ座っているだけだと司書に睨まれる。カモフラージュに分厚い百科事典を広げ、何気なく話を振った。
「ねえ、セブルス、クリスマスだけどサンタ服用意した?」
「サンタ服…?」
セブルスが怪訝そうに眉を上げ、ジェームズの顔を見た。
「え?セブルス、サンタ服着ないの?」
不思議そうに首を傾げ、驚いてみせる。
セブルスはその反応に、自分が何か知らないことを突いてしまったような不安を感じた。