Melty Xmas 鹿猫
セブルスはふむ、と腕を組んだ。
「ルーピン、ブラックはきっとそんなこと気にしていないぞ。あれは、お前一つあれば満足する」
「…大胆なこと言うねセブルス」
リーマスが笑った。
「ああ、人のことなら何とでも言える」
「君もそうだよセブルス。ジェームズは君一つあれば幸せなはずだ」
二人は顔を見合わせ、顔を赤くした。
「失礼、聞いていて恥ずかしいんだが…」
気が付くと、エイブリーが立っていた。
リーマスが緊張したように目を逸らした。
エイブリーは切れ長の目でリーマスを横目で見た後、セブルスに話し掛けた。
「セブルス、先に寮へ戻る。君たちは贈る相手がいることにまずは感謝すべきだ」
エイブリーにしては珍しく柔和な言葉だった。
「オレがいるだろー!!」
マルシベールが叫ぶ。
「忘れてた」
表情一つ変えずに言うと、エイブリーはマルシベールを促し、医務室を後にした。
ジェームズのフクロウ、ジェームズJrが、初めて見るフクロウを連れて誇らしげに飛んできた。フクロウは大きな包みをぶら下げている。
「来た!!」
ジェームズは落とされた包みを見事にキャッチすると、浮き足で寮へ戻った。
真っ赤なベルベット。真っ白なファー。
包みを破り開けたジェームズは、届いたサンタ服に満足の溜息を洩らした。
帽子にもファーが付き、襟にも袖にも付いている。そして、半ズボンというには短すぎる丈のショートパンツ。もちろん裾にもファーがあしらわれていた。
「すばらしい…さてと、セブルスはどこかな…」
忍びの地図を引っ張り出し、セブルスを探す。
「また図書館だね。よかった。温室じゃあ、誰もいないから都合が悪い」
ジェームズは鞄にサンタ服を大事にしまうと、それを手に図書館へ向かった。
図書館はいつになく生徒たちが大勢いた。
あちこちに設けられた机が所々埋まっているのを見て、ジェームズはほくそ笑んだ。
真っすぐに薬学の棚に向かう。
しかしセブルスはいなかった。
ー…おかしいな…たいていここにいるのに…
首を傾げながら、薬草学、魔法生物学、歴史、言語、禁書…いそうな棚を覗き込んでいったが、見当たらない。