Melty Xmas 鹿猫
リーマスは塞ぎ込んだようなセブルスの気を引き上げようと、話を切り替えた。
「悩み事があるんじゃないのかい?」
「……」
見抜かれていた…。セブルスは返答に困った。
「彼らはいつも二人でよく来るからさ、わざわざ君が来るなんて…僕に会いたかったからでしょ?」
リーマスがエイブリーとマルシベールを見たあと、セブルスに視線を戻した。
「自意識過剰だぞ」
「そうかな?」
セブルスがようやくリーマスの目を見つめ、またうつむくと言葉を紡いだ。
「クリスマスのことだ」
「サンタ服のこと?」
「何の話だ?」
「い、いや、クリスマス!そう、クリスマスだよね。何贈るか考えてる?」
慌てふためくリーマスをよそに、セブルスは溜息をついた。よほど悩んでいるらしく、リーマスの挙動に気付く余裕すらない。
「考えてはいるんだが…一向に決まらない。僕は人に物を贈ったことなんてないんだ。特に、その…」
「恋人には?」
セブルスが顔を赤くした。リーマスはその反応が面白くなったが、あえて平静を装った。
「去年は何を贈ったの?」
「羊皮紙と羽根ペンだ」
「その前は?」
「クィディッチの歴史、その展開と展望。という本だ」
「……」
「結果、一昨年ので毎日ラブレターだった。去年ので毎日勉強会…この言葉の意味は?だの、何だのと…」
リーマスはくすくす笑った。
「君らしいっていうか、実用的なものばかりだ」
セブルスはまた溜息をついた。
「考えれば考えるほど分からなくなるんだ」
「僕もさ、セブルス」
リーマスが憂いを含んだ笑顔で言った。
「毎年悩んでる。シリウスは、ほら、旧家で、名家で…お金持ちだろ?釣り合わないような気がしてさ…何を贈るにしても、なんていうか、こっちが高いかな、でも頑張って…っていう金額でも、シリウスにとってはポケットマネーだったりするし…」
リーマスは盛大な溜息をついた。