Melty Xmas 鹿猫
「今度は何を着せるんだ?」
ジェームズが思わず笑いながら、首を振る。そして笑顔をまた真剣な顔に戻すと、大きく息を吸い、セブルスの瞳を見た。
「僕からのプレゼントはこれさ…」
小さなブナでできた木箱をセブルスに差し出した。
セブルスは褐色の木箱を開けてすぐに閉じ、顔を上げてジェームズを凝視した。
「セブルス、僕にはそれしか思いつかなかった。ずっと…。君と一緒にいることしか…。君と、結婚することしか…」
ジェームズは驚きに見開かれた漆黒の瞳を愛しそうに見つめ、目を細めた。そして一息おいて静かに向き合った。
「セブルス…僕と、結婚してください」
ツリーの枝から粉雪が滑り落ち、二人に降り掛かった。それはセブルスの漆黒の髪にもかかり、ジェームズはまるで、きらきら光るベールのようだと思った。
「ダンブルドアが…」
ようやく出てきた掠れた声でセブルスは呟いた。
ジェームズは頷いた。
「僕は女性と結婚しないといけないって言ってたよね。でも…僕は君しか愛せない」
セブルスはうつむいた。
小箱に涙が落ちる。
「僕たちは今、学生だけど、卒業したら、君と結婚して、一緒に暮らして、そうやって生きてゆきたい。君さえ…よければ…君さえ、許してくれるなら…」
ジェームズはそこまで言うと黙り込んだ。じっとセブルスのうつむく顔を見つめる。
小箱にパタパタと涙が落ち、かける言葉も見つからず、ジェームズは不安そうに顔を覗き込もうとした。
「セブ…?」
ふいにセブルスの左手がジェームズの胸に押し当てられた。
ジェームズが驚いて、自分の胸に置かれた左手とセブルスのうつむく顔を交互に見下ろした。
セブルスは何も言わず、ただ左手を上げ、ジェームズの胸に当てている。
「え?…あの…?」
ジェームズはその行為の意味を理解するのに数秒かかった。