Melty Xmas 鹿猫
セブルス・スネイプは悩んでいた。
クリスマス…。
今年もジェームズをはじめ、いつものグリフィンドールメンバーはクリスマス休暇をホグワーツで過ごすと決めていた。
セブルスはひとり、校庭へ出ると、巨大なツリーの天辺で輝く虹色の星を見上げた。
セブルスもまた、ホグワーツに残る。
ジェームズたっての願いを渋々了承したが、端からセブルスは家に帰るつもりなどなかった。
母アイリーンにはクリスマスカードと手紙を書き、父の苦手なガマガエルを付けてフクロウ便で出してある。
セブルスは星を見上げながら、大きな溜め息をついた。
ーあいつに何を贈ったらいいんだ…?ー
ジェームズは鼻歌混じりに、追加速達で届いた雑誌を熱心に見つめていた。
「何を見てるんだい?」
リーマスが興味深そうに、ベッドに腰掛けているジェームズを見下ろし、雑誌を覗き込んだ。
“今年はファーをふんだんに使ったサンタ服でLet'sXXX”
“今なら一着買うともう一着付いてくる!”
写真はどれも、清く正しいクリスマスとは程遠い、ただれたものばかりであった。
「……」
リーマスが肩を落とした。
「それ、シリウスには絶対に見せないでよね…」
「俺がどうした?」
シリウスがリーマスの隣に立っていた。
「わああああ!!」
リーマスがシリウスに抱きつき、ベッドに押し倒した。
「な、何だよリーマス…ジェームズ何見てんだ?」
「いいから!!シリウス!僕だけを見るんだ!」
「はあ!?意味わかんねーよ…」
シリウスがリーマスを抱き締めながらも、体を起こそうとする。リーマスがそれを押さえ込む。
二人はしばらく格闘技さながらの取っ組み合いをしていたが、リーマスの本気に適う者は誰もいない。
数分後、シリウスがベッドにのびていた。
「はあッはあッ…で、ジェームズ、それ、しまってよ…」
ネクタイを緩めながら、リーマスはジェームズに詰め寄った。