Melty Xmas 鹿猫
しんしんと降る静かで暖かな沈黙に、セブルスの静かな声が混ざった。
「ジェームズ…」
「ごめんね…」
ジェームズが呟く。
セブルスが頭を振った。
「僕の方こそ…すまない…」
待たせたことに胸が痛んだ。
「ジェームズ…戻ろう…風邪をひく…」
ジェームズは首を振り、頭を離すとセブルスの顔を見つめた。
「ここって決めたんだ」
そう言うと、上を向いた。
「このツリーについてる虹色の星が大好きなんだ」
無邪気に笑った。
「そうか…」
セブルスはジェームズの笑顔に安堵してうつむいた。
「ねえ、セブ、君、僕へのプレゼント何にした?」
唐突な問いが飛んできた。
セブルスは決まり悪そうに顔を背けた。
何日も悩んで、結局これといったものがなかった。どんなものも目を引かず、逆にどんなものでも贈りたくなった。
セブルスはポケットに手を入れた。小さな包みが手に当たる。それを無造作に掴むと、ジェームズに突き付けた。
ジェームズはその包みを開けた。
小さなインク壺だった。良質なインクがたっぷり入っている。
セブルスは恥ずかしくなり、うつむいた。
「すまない…色々と考えたんだ…それなのに、そんなものになってしまった…」
消えそうな声で呟く。
ジェームズは微笑んで、セブルスを自分の胸に導いた。
「ありがと…」
「本当はいろいろ考えたんだ…マフラーだとか手袋だとか、考えて考えてそうしたらそんなものに…」
セブルスは首を振った。
「セブ…僕は本当に嬉しいよ。それにね、何よりのプレゼントは、君が僕を想って悩んでくれたその時間だ。選ぶ時、僕を想ったでしょ?僕のことだけを考えて…」
腕の中でセブルスが小さく頷いた。ジェームズは黒髪に頬をすり寄せた。そして両手でセブルスの白い頬を包み込み、目を合わせた。
「じゃあ、君がこのプレゼントに満足していないのなら、もう一つ僕にプレゼントをくれる?」
急に真剣な顔つきになった。
セブルスは思わず身構えた。