Melty Xmas 鹿猫
必要の部屋は真っ暗だった。
セブルスはまたどこかにジェームズが息を潜めているのではないかと思い、杖を一振りし、明かりをつけた。
ジェームズは部屋の中央にセブルスの服とローブを持って、椅子に座っていた。
「服を返せ」
「それ誰の?」
ほぼ同時に二人は口を開いた。
セブルスは乱暴にジェームズの腕から自分の制服をひったくると、冷ややかな一瞥を投げ、扉に向かった。
「セブ!」
ジェームズがセブルスを抱きすくめた。
肩から違う男の香水が匂う。
怒っている時、服に手を掛けるのは、神経を逆撫ですることになると分かっていても、ジェームズは自分を抑えることができなかった。
セブルスの肩を掴み、ローブの結び目を解く。
セブルスが怒りの形相で腕を振り上げジェームズの頬を打った。ジェームズもムキになり、細い手首を捻り、ローブを脱がすと、床に落ちたセブルスのローブを拾い、無理矢理着せた。
ローブの合わせ目を整える頃にはセブルスは抵抗もせず、怒りと呆れが入り混じった顔で睨み付けていた。
「ごめん…」
ジェームズが襟を丁寧に折りながら呟いた。
セブルスは大きく息を吐いた。
「…僕が怒っているのは、嘘をついたことだ。僕を騙したことだ。はっきり言えばいいんだ…着せたいものがあるのなら…」
セブルスが不機嫌そのままに言い放った。
「言ったら着てくれる?」
「いや、断る」
「じゃあ…」
「それでもだ!」
ジェームズは返す言葉を失った。
セブルスはジェームズの手を払い除けた。
「明日…」
ジェームズがすがるような声を出した。
「明日…校庭のツリーのところで待ってるから…」
セブルスは何も言わずに扉に触れ、姿を消した。