Melty Xmas 鹿猫
「そういうことですか…」
マクゴナガルが眩暈を起こしたようにこめかみを指で押さえた。
ジェームズとシリウスは肩を寄せ合い、少しずつ後退りした。いつでも逃げ出せる態勢である。
「Mr.スネイプ…魔法世界にそのような慣習はありません。クリスマスはマグルも魔法界も一緒です…」
「…では、サンタクロースを崇めるというのは…?」
セブルスの声が低くなった。
マクゴナガルは頭を振った。
「ルーピン…なぜ僕達はサンタ服を着ているんだ…?」
「セブルス…君の予想通りさ。君は騙されたんだ。そして僕はハメられたのさ…」
リーマスはセブルスに呟いたが、その方向からブチッという音が聞こえた気がした。
「ジェ~ムズ・ポッタ~」
唸るような声が聞こえる。セブルスは拳を握り、その手を怒りに震わせていた。
勢いよく振り返る。しかし二人の姿は忽然と消えていた。
「ルーピン!杖!」
「OK!」
リーマスが白い袋に隠し持っていた杖を渡し、自分も杖を握った。
「先生!失礼します!」
二人は一礼すると走り出した。
服装に関しては、これといって罰則はない。
マクゴナガルは走り去る真っ赤なサンタ服の二人を、溜息をつきながら見送った。
「まさかマクゴナガルに出くわすなんて!!寮まであと少しだったのに!」
ジェームズが走りながらシリウスに言った。
「うわッ!!リーマスだ!!スネイプも!」
シリウスが振り返り叫んだ。
セブルスとリーマスがサンタ服のまま走ってくる。その二人の白い脚に思わず逃げ足が止まり、惚けそうになりながら、ジェームズとシリウスは廊下の突き当たりで顔を見合わせた。
「グッドラック!!」
手を叩き合わせ、二人は左右に分かれた。
「セブルス!あの二人を追う前に着替えたほうが…」
リーマスが壁をちらちら見ながら話し掛けた。
「そんな余裕はない!見失う!」
「でも…パンツが見えちゃう」
リーマスの訴えをセブルスは無視した。