Melty Xmas 鹿猫


「いや、あの、僕は…」

ちらりとジェームズの顔を見た。

ジェームズが微笑んでいる。リーマスはその笑顔を見て戦慄した。

ーあの笑顔は、人を脅すときのとっておきの顔だ…。

「リーマス、君にも用意してある」

ジェームズがにこにこしながら、言った。

「でかしたジェームズ!それでこそ兄弟だ!!」

シリウスがジェームズの肩に手を回した。

「これでクリスマスに恥じない行いができるな」

セブルスが真面目に言う。

「いや…ものすごく恥ずかしいよ…」

リーマスの呟きは虚しくかき消された。


30分後。
廊下に二人のサンタがいた。

リーマスに用意されたのはミニスカートのサンタ服だった。しかもご丁寧に真っ白なフリル付きのアンダースコート(パンツ)までついている。

「ごめんねリーマス、なんだか店の方が間違えたみたいなんだ。でもよく似合ってるよ。僕からのプレゼントさ。受け取ってくれて嬉しいよ」

ジェームズがニヤニヤしながら、リーマスの帽子の角度を直した。

「ありがとうジェームズ、一生忘れないよ…」

リーマスが口元を引きつらせ、睨み付けた。

「行こうかリーマス」

シリウスが満面の笑みでリーマスの腰に手を回した。

リーマスは、ジェームズとシリウスを蹴り飛ばしたい衝動に駆られたが、ミニスカートでは鉄槌ではなくサービスショットをお見舞いしてしまうことに気付き、涙を飲んでプレゼント配りを開始した。

その出来事はホグワーツの伝説になった。


しかし、嬉々と校内を歩き回り、残るはグリフィンドール寮のみとなった時、マクゴナガルに見つかった。

「あなたたち!!」

マクゴナガルはツカツカと四人に歩み寄った。

「なんて破廉恥な!いったい何をふざけているのですか!?まあ!Mr.スネイプ!それにあなたはMr.ルーピン…」

マクゴナガルは、教師の間で評価の高い二人の生徒を愕然と見つめた。そしてジェームズとシリウスを睨んだ。

「あの、先生…どういうことですか?これはクリスマスの正装、魔法世界の慣習ではないのですか?」

セブルスが腑に落ちない顔でマクゴナガルを見た。
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