Melty Xmas 鹿猫
シリウスはジェームズの胸倉を掴んだ。
「ジェームズ!てめえ俺を殺す気か!?」
「何で君が死ぬのさ」
「いろいろだ!!」
「ブラック」
セブルスがシリウスに近づいた。シリウスが飛び上がって壁を背に身を退いた。
「何だよ!」
セブルスは白い袋から小さな箱を取り出して、シリウスに迫った。
「来んなよ!!」
白い脚に思わず目線が行きながらも、涙目で叫ぶ。
セブルスがムッとした。
「貴様よほど僕が嫌いみたいだな」
「ああ!そうだよ!!大嫌いだよ!チクショウ!」
完全に声が裏返っている。
「フン、まあいい、さっさと任務を済ませたい。受け取れ」
シリウスの目の前に、赤と緑のストライプに金色のリボンがかけられた箱が差し出された。
「何だよ!これ!」
「プレゼントだ」
憮然としながら、小箱を突き付ける。
可愛らしい帽子に赤いサンタ服で、小さなプレゼントを持って迫るセブルスに、シリウスの理性は限界だった。
「リ~マス~」
恋人の名を唱えながら、腕がセブルスを抱き締めようと彷徨い始めた。
しかし、その瞬間、平手打ちが横から飛んできた。
「呼んだかい?」
リーマスがにこにこしながら、シリウスを見上げた。
「……」
シリウスは我に返り、頬を押さえながらリーマスを見下ろした。
「お前、最近厳しくないか?」
「かっこいい誰かさんが、かっこよくあるために、僕からの愛の鞭だよ。それにしてもセブルス!よく似合うじゃないか!」
リーマスは感心して、セブルスの周りを一周した。そしてジェームズに耳打ちした。
「やっぱり君のセレクトってすごいよ、でも、どうやって着せたんだい?」
その時、シリウスがリーマスの肩を叩いた。目が輝いている。
「リーマス、お前も着ないといけないんじゃないのか…?」
「え?」
「そうだぞ」
セブルスがリーマスをたしなめるように、腰に手を当てて言った。
「これがクリスマスの正装なんだ。ルーピン、お前はいつ着るんだ?」
「え?せ、正装…?」
リーマスの顔から血の気が引いてゆく。