Melty Xmas 鹿猫
自由な午後、食堂ではあちこちでお茶を飲む生徒がいた。
その中にシリウスとリーマスはいた。ピーターも一緒にお茶を飲んでいる。
リーマスはクリスマスを意識したお菓子に夢中だった。
「リーマス…お前は菓子ならいくらでも入るんだな…」
シリウスが半ば驚きながら、リーマスを見下ろした。
「うん、だって、これ今食べとかないと…」
お菓子を頬張りながら、目を輝かせる。
その愛らしさにシリウスの胸が騒いだ。
そのまま髪を撫で、身体を抱き締め、全てを奪いたくなる衝動に駆られ、思わずリーマスの手を握った。
リーマスが驚いてシリウスを見上げた。
「ごめん、やっぱり食べ過ぎかな?」
クッキーを皿に戻す。
「そうじゃない」
シリウスはくすりと笑い、体を屈めてリーマスの手のひらに口付けた。
「クリスマス、一緒に過ごそうな…」
頬を赤くしたリーマスの耳元で、シリウスが囁いた。
リーマスは小さく頷いた。
食堂から出てきた生徒達は、入り口で度肝を抜かれた。または魂を抜かれた。
真っ赤なサンタ服に身を包んだセブルス・スネイプが立っている。
原色の赤に、雪のような白い脚が眩しい。
「シリウス来ないかな?」
ジェームズが壁に寄り掛かりながら、食堂を窺う。
「セブ、寒くない?」
「いや、もう慣れた。ただ、この視線は何なんだ?」
セブルスは目の前を通り過ぎる生徒達を睨み付けながら、ジェームズだけに聞こえるように呟いた。
生徒達は目を輝かせてセブルスを見た。男子生徒の中には、ジェームズとがっちり握手をする者もいた。
「僕たちが先取りして、正統なクリスマスを見せていることに感激しているのさ!あ!来た!!」
シリウスがリーマスを連れて歩いてきた。
「シリウス~」
ジェームズが手を振った。
シリウスとセブルスの目が合った。
数秒後、がっくりとしゃがみこむシリウスがいた。
「ボガートじゃないよ~」
ジェームズは楽しそうに屈むと、シリウスの肩を叩いた。