Melty Xmas 鹿猫
「…寒いな…この服…」
「帽子は?セブ…その近くに帽子もあるはずだよ?」
「…ああ…これか…なんだこのポンポン…馬鹿げているな」
「セブ!僕たち魔法族の英雄になんてことを!」
「そうか…すまない…ジェームズ、着たぞ」
セブルスの声に、ジェームズは勢いよく振り返った。
そして倒れた。
「ジェームズ!?何か着方を間違えたか?」
「い、いや、間違っていないよ…ホント、そのセレクト間違っていないよ…」
「何がだ?僕が聞いているのは着方だ」
セブルスが腕組みをしてジェームズを見下ろした。
「完ペキ…今すぐ君を襲いたいくらいだ…」
ジェームズが眼鏡を掛け直して言った。
セブルスの眉がぴくりと上がった。
「これは正装じゃないのか?」
「せ、正装だよ!正装に決まっているじゃないかセブルス!その色だ、僕には赤が危険なんだ!鹿だから…」
「それはバッファッローだろう…」
ジェームズは慌てながら立ち上がり、隣の部屋に行くと、大きな白布の袋を持ってきた。
中には小さな箱に入ったマシュマロが入っていた。
セブルスが溜息をつく。
「さあ、セブ、僕も着替えるよ」
ジェームズが隣の部屋に消えた。
数分後、きちんとした礼装にトナカイの角を生やしたジェームズがいた。
角さえなければ、すぐにでもダンスパーティに行けそうな姿だった。
「ホントは鹿になって、君を乗せたかったんだけど…ね」
残念そうに言う。
「ところでジェームズ、これは誰に配るんだ?」
セブルスが大きな袋を担いだ。
「ジェームズ?」
「ちょっとごめん」
ジェームズが鼻を押さえ、姿を消した。
「何なんだあいつは…」
気を取り直し、二人は廊下に出た。
「まずはシリウスを探そう、それからグリフィンドールへ」
「またお前のところか…」
「だって、本来なら、僕がサンタだったんだからね」
ジェームズがもっともらしく言う。
「さあ!行こう!」