Melty Xmas 鹿猫
それはいつも通りの朝だった。
ジェームズの前にシリウスが座り、その隣にリーマスがいる。二人は眠そうにシリアルを口に運んでいた。
ピーターはジェームズの隣で、なぜか危険を察知し、顔を上げた。
フクロウ達が飛んでくる。その中に、ひときわ大きな本のような包みを足にぶら下げたジェームズJrの姿があった。
ピーターはテーブルの中央を見た。そしてすばやくテーブルの下に身を隠した。
頭上から降ってきた本の包みが、テーブル中央に置かれた皿に落下した。皿にはミルクが入っている。
白いミルクは見事な飛沫を上げて、シリウスとリーマスの顔にかかった。
シリウスとリーマスがスプーンを持ったまま固まっている。頬や口元からポタポタと白い雫を垂らしながら。
「うん、いい眺めだ」
ジェームズが満足気に頷いた。
「……」
「…お前最悪だな…」
シリウスがようやく呟いた。
「ピーター、もう大丈夫だよ」
ジェームズがテーブルの下を覗き込む。
ピーターはテーブルから這い出ると、二人を見て溜め息をついた。
やっぱりいつも通りの朝だった。
テーブル中央に置かれたミルク皿は、ジェームズが故意にやったとしか思えない。
ジェームズは楽しそうに濡れた包み紙を破り、雑誌の表紙をちらりと見たが、今度はジェームズが固まった。
表紙を見つめたまま、ニヤニヤと笑っている。
ピーターはジェームズの顔を見て、その手元の雑誌を見ると、心の中で合掌した。
表紙には、赤いサンタ服を着たナイスバディのお姉さんが、スカートをひらひらさせてウィンクをしている。
ジェームズは懐に雑誌を抱え込むと、どこか照れながら、顔を拭き合っているシリウスとリーマスを残し、寮へ戻った。
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