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咳をしても二人 鹿猫


「何とかは風邪をひかないと言うんだがな…」

セブルスはグリフィンドール寮のベッドで、ジェームズの顔を見下ろして言った。

「何とかと天才は紙一重だからね」

ジェームズが笑う。

「そんなことよりセブ、うつるよ」

毛布に顔を半分隠しながら、ジェームズはセブルスを見上げた。うつさないための配慮のようだった。

「医務室へ行くか?」

「ポンフリーはクリスマス休暇だよ。いてもいい。この状況を楽しみたい…」

ジェームズはウインクをしてみせた。

「セブ、うつるから、寮に…」

セブルスはジェームズをじっと見つめた。

「そうだな…」

短く言うと部屋から出ていく。


一人残されたジェームズは、目を閉じ、厚い毛布をきつく体に巻き付けた。

「寒い……」

両親が比較的高齢で子供を授かったため、ジェームズはどんな時も温かな環境の中で育てられた。

心細さに情けなくなる。
ジェームズは毛布ごと、自分の体を抱き締めた。


その時、額に手が当てられた。

「セブ…!」

薄いシャツの夜着に身を包んだセブルスが、顔を覗き込んでいた。

ジェームズの顔に安堵ではなく、厳しさが浮かんだ。

「うつしたくないんだ」

思わず背を向ける。

「もうとっくにうつっている」

セブルスは冷静に言った。

「それにさっき置き薬を飲んできた。お前も飲め」

水と包み紙を渡され、ジェームズはおとなしく従った。

その姿を見届けると、セブルスはジェームズの毛布に潜り込んだ。

「セブ…!?」

動揺しているのが分かる。

「手」

セブルスがぶっきらぼうに言う。

「うん」

ジェームズは手をセブルスに重ねた。
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