トリックスター 鹿猫
授業を終えたセブルスは、足早に必要の部屋へと向かった。
午後は授業もなく、翌日は日曜である。今日中に仕上げ、それを飲む。たとえ失敗しても次の日は休みである。
必要の部屋に入るとジェームズがベッドでうたた寝をしていた。
セブルスは荷物をそっと降ろすと何気なくその寝顔を覗き込んだ。
(睫毛長いんだな…)
無防備な寝顔を見つめる優越感に浸りながら、セブルスは顔を近付けた。
普段は恥じらいや、強情さ、頑なさが勝り決してできない。
セブルスはジェームズを起こさないようにそっと触れるだけのキスをし、すぐに顔を離した。しかしその瞬間、いきなりジェームズがその頬を包み強引に口付けた。
「ん!…んん~!」
セブルスが体を離そうと両手を着いた。ジェームズは角度を変え、唇を開くと妖しく舌を滑り込ませた。
「んッ…」
びくりと身体が反応し、腕の力が抜ける。自分の舌を絡められ、誘われる。
セブルスはその熱に引き込まれるように、ためらいがちに応えた。
「…は…ッ」
濡れた音が熱を煽る。ジェームズはセブルスの黒髪を指に絡ませ、後頭部に手を回した。
「…ん、駄目だ…ジェームズ」
セブルスは必死に抵抗し、ガバッと身体を起こした。
息を大きく吸い込み、ジェームズを睨み付ける。
「…はあッ…全く、この…」
セブルスは頬を上気させながら乱れた髪を押さえた。
ジェームズはその様子を楽しげに見上げている。
「寝込みを襲うなんて大胆だねMr.スネイプ君」
「ちッ違ッ…そもそも貴様起きてただろ!!」
「ううん、王子様のキスで目が覚めました♪」
顔を赤くして睨み付けているセブルスに、ジェームズは微笑み、机を指差した。
「終わったらしよ?」
セブルスがローブを思い切り投げ付けた。