トリックスター 鹿猫
しかし、ジェームズは見せびらかしたい性分である。
セブルスの細腰に手を回すと、ピーターに手を振った。
ピーターは、ジェームズの顔を見て、今夜はジェームズの方が生還できないだろうと悟った。
案の定、その晩はジェームズが先に陥落した。
「ジェームズ、もう昼過ぎだぞ、起きろ」
セブルスの声が聞こえる。
「う~…セブ…もうダメ…君はなんて激しいんだ…」
ジェームズがもぞもぞと動きながら、寝言を言う。
セブルスは顔を真っ赤にして、枕を叩きつけた。
ジェームズが目を覚ました。
「セブ…?あれ?なんで恐い顔してるの?」
セブルスは怒りにわなわなと震え、眉間に皺を寄せながら、枕でバシバシとジェームズを殴った。
「ジェームズ!!貴様だろう!あの薬に細工したのは!」
セブルスの脇には、閉心薬の調合法を書いた羊皮紙が広げられている。
「え?あ痛ッ!何?セブッ痛ッ元に戻っちゃったのッ?」
ジェームズは枕で頭を殴られながら、セブルスの顔を見た。
「当たり前だ!貴様だな!やっと分かった!順番を替えると開心薬になるんだ!しかもそれができたのは貴様しかいない!」
「ご明答セブルス!可愛かっ…ぐぇッ」
セブルスがジェームズの首を絞めた。
「僕にこんな恥ずかしい真似をさせて~」
「セブ…させだんじゃなぐで、あれが君の…真の姿…」
ジェームズが首を絞められながらも楽しそうに笑みを浮かべる。
やっぱりどっちも可愛い…。
ジェームズは、怒りに顔を赤くして自分を睨み付ける恋人を見て、そう思った。
おわり
ひなな様に捧げます
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