トリックスター 鹿猫


アーサーは背後からルシウスを捕らえたまま、耳元に息を吹きかけ、すばやく上着の中に手を滑り込ませた。ルシウスがびくりと体を折った。

「…このッ…ウィーズリー…くッ」

ルシウスが必死にアーサーの手を掴む。

「ここで君を犯すのも楽しそうだ…たまには刺激がないと…」

アーサーが手を動かしながら、顔を赤くしているセブルスを見た。

「セブルス行っておいで。ジェームズによろしく!」

ウィンクをし、余裕で微笑んだ。

セブルスは黒髪を揺らしながら、枕を抱え、浮き足でグリフィンドール寮へ向かった。

入り口に辿り着くと、そこにはシリウスがいた。

ポケットに手を突っ込み、壁に寄り掛かる姿は誰もが振り返るほど格好が良い。

セブルスはシリウスを見上げた。



「あれ?シリウスは?」

リーマスは隣の部屋でクラスメイトとの用事を済ませ、部屋へ戻ると辺りを見回し、ピーターに尋ねた。

「え?会わなかったの?さっき談話室の向こうにスネイプが枕を抱えて来たって言ったら、いなくなっちゃったけど…」

リーマスが羊皮紙を握り潰した。

「あの駄犬があああ!!」



シリウスはセブルスに微笑みかけた。

「おいスネイプ!俺には挨拶なしか?俺はジェームズの大親友!兄弟同然なんだぜ!」

「シリウス!!!」

リーマスは扉を勢いよく開け、シリウスに向かって助走した。
シリウスはリーマスの飛び蹴りを一世一代の運動神経でかわした。

「許せリーマス!!」

体勢を整え、髪を掻き上げる。

「そうか…じゃあ、おやすみのキスだ」

セブルスが枕を手にぶらさげ、シリウスの首に腕を絡めると踵を上げて両頬に口付けた。
体を離し、手を振ろうとするセブルスにシリウスが鼻を押さえながら、杖を出した。

「スネイプ!ジェームズを誘うなら、そんな堅苦しい制服じゃあ駄目だ。このくらいセクシーに行け!」

シリウスが大きく杖を振った。
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