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罪と罰と幸せと 鹿猫


セブルスはジェームズを力いっぱい抱き締めた。

ずっと願っていた。狂おしいほど願っていた。ジェームズ・ポッターの子が欲しいと。愛する者の子が欲しいと。人を愛したならその子供が欲しいと思うのは当たり前のことなのに、願うことは許されずにいた。不可能という抗えない常識と現実にその願いは夢だけで終わっていた。

「ごめんね…君の身体にこんな勝手な真似をして…」

ジェームズは謝り続けている。
セブルスは首を振った。
たとえ立っている場所が崖淵だとしても、幸せしか見えない。
ジェームズの子を宿した。愛する者の子を…自分との子を宿した。その事実にセブルスは涙が止まらなかった。

「ごめん…泣かないでよ…セブ…」

ジェームズは困り果て、顔を覗き込もうとする。

「違う…馬鹿者…」

その手を拒み、ジェームズの胸に額を付けて小さな声で言った。

「嬉しいんだ…」








「ロン!!ハーマイオニー!!」

ハリーは勢いよく図書室の扉を開け、走った。司書がハリーを睨みつけた。

「すいません…」

軽く会釈してやり過ごすと、ハリーは二人の元に早足で近づいた。

「ロンちょっと両腕挙げて」

「え?こう?」

ハリーの迫力に押され、ロンは両腕を挙げた。
ハリーはロンに抱きついた。

「ななな…何だよハリー」

ロンが大慌てて身を引きこうとした。

「黙って!!」

ハリーは真剣だった。
ロンの胸に耳を押し当てる。

「…違う」

ハリーは体を離した。

「ハーマイオニーも!」

「え?ちょッ…何すんのよ!!」

ハーマイオニーは本でハリーを殴った。

「大事なことなんだ!心臓の音を聞かせて!」

ハリーはハーマイオニーの少し膨らんだ胸に耳を押し当てた。
ロンとハーマイオニーが首を傾げて顔を見合わせた。

「…違う…」

ハリーが呟いた。

「何なの?一体…?」

ハーマイオニーが怪訝そうにハリーの顔を見た。
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