罪と罰と幸せと 鹿猫
ジェームズの目は真剣だった。
卒業まで長くはない。
ジェームズはリリーと結婚する。
セブルスの目に涙が溢れた。
ー運命には逆らえないのか…
「セブ…?」
ジェームズは心配そうに揺れる瞳を覗き込んだ。
「嫌だ…」
「セブ…」
セブルスは両腕を伸ばした。ジェームズがその体をしっかりと抱き締めた。
「何が嫌なの…?」
頬を擦り寄せ囁く。
「時が…迫っている…」
ジェームズはセブルスの黒髪を指で梳きながら、ゆっくりと頬を包み目を合わせた。
「大丈夫だよセブルス」
ジェームズはセブルスの濡れた頬に口付け、微笑んだ。
「何もかもうまくいく」
ゆらりと白い腕が暗闇に伸び、跳ねた髪を掴んだ。髪から雫が落ちる。
「ジェ…ムズ…ッ」
セブルスは息も絶え絶えに名を呼んだ。
深々と身を沈められ、快楽の淵へと堕とされる。
行為はいつになく激しかった。
絶頂を迎えても再び煽りたてられ、体位を変えられては熱い楔を打ち込まれた。
長い口付けの度に何かを喉に流し込まれたが、それについて問う余裕すら与えられなかった。
セブルスは擦れた声で悲鳴を上げ、気を失った。
ジェームズがその隣に崩れるように倒れ込んだ。息が切れ、胸が大きく上下する。しばらく動けなかった。
「…はあッ…僕が逝くとこだった…このまま死んでもいいくらい…ってそんなこと言ってる場合じゃないな」
ジェームズは体を起こし、ベッド脇に寄せたローブから杖を取り出した。
「セブ…?」
確かめるように名を呼んでみる。返事はなかった。どうやら気を失ったまま、深い眠りに落ちたようだった。
「ん~よくやったジェームズ・ポッターよ!」
ジェームズはにんまり笑うと、セブルスの体をそっと仰向けに横たえた。
愛しそうに頬に張り付いている黒髪を指先で払い、一度深呼吸する。目を閉じ、精神統一をすると真剣な表情で呪文を唱え始めた。
長く複雑な呪文。一文字でも間違えればかけられた者の命が奪われる危険な業。
ジェームズは緊張しつつも、祈るように小さな声で呪文を唱え、セブルスの白い裸体を杖で丁寧になぞっていった。