罪と罰と幸せと 鹿猫
ハリーの頬にスネイプの黒髪が触れる。ねっとりした髪だと思っていたのは間違いだった。
柔らかく細い髪。
ハリーは思わず目を閉じた。
血の気のない顔をしているのに、その胸は温かかった。
拭いきれない懐かしさが胸を焦がすようだった。
スネイプの震える手が、ハリーの後頭部をそっと撫でる。
なぜ泣いているのか分からなかった。
「…すいません…先生…」
なぜ謝っているのかも分からなかった。
ただ、抱き締める腕と匂いとそのあたたかさをどこかで知っていることだけは確かだった。
ジェームズは必要の部屋で、机の脇にある薬品棚を熱心に調べているセブルスを見つめていた。
「ジェームズ、ここにあった茶色い瓶を知らないか?」
「ごめんセブ、実はこのあいだ間違って落として割っちゃったんだ…ごめん」
「いや、別にいいんだが…触らなかっただろうな?あれは劇薬だった」
「うん…大丈夫」
ジェームズはローブのポケットに手を入れ、ダンブルドアから勝ち取ったクリスタルの瓶を取り出した。
セブルスの背中を伺いながら、その中身を口に含む。立ち上がり、頭一つ低いセブルスの肩を叩き振り向かせた。
顎を持ち上げ口付ける。そのままセブルスの喉に液体を流し込んだ。
セブルスが目を見開き、体を押し退けた。
「…ッ!!ジェ…ムズ!今何を飲ませた!?」
味わったことのない感覚だった。液体のはずなのに、まるで生きた空気のようだった。
「ビ・ヤ・ク」
ジェームズはウインクした。
ー違う…
セブルスは瞬時に悟った。前に一度、媚薬を飲まされ大変な目に合っている。その時の感覚とは全く違っていた。
訝しそうな顔をしているセブルスの体を、ジェームズは投げるような乱暴さでベッドへ押し倒した。
ベッドのスプリングでセブルスの体が跳ね、髪が乱れた。ジェームズがそれを追うように細い体を組み敷いた。
「ね、抱いていい?」
強い眼差しが漆黒の瞳を捕らえた。
「この状況で聞くのか…?」
セブルスは半ば呆れながらため息をついた。