罪と罰と幸せと 鹿猫
「目の色がリリーと一緒でよかったな…」
セブルスの静かな声が部屋に染み込んだ。
ハリーはリリーの元に預けられる。リリーの子として。
背後からジェームズの腕が伸び、セブルスを抱き締めた。首を振っている。
「…ごめん…」
消え入りそうな声は震えていた。
「分かっていたことだ。ダンブルドアの元にあの魔法薬をもらいに行った時に聞いていた。ジェームズ…?」
ジェームズは何も言わず、セブルスの肩口に額を付け首を振り続けた。回した手が眼鏡を握り締めたまま震えている。
セブルスはゆっくり振り向き、その顔を見上げた。
「ジェームズ…父親は泣くもんじゃないぞ…」
セブルスはハリーを抱え直し、片手を空けるとジェームズの頬に手を添え、流れる涙を指で拭った。しかし、ハシバミ色の瞳からはとめどなく涙が零れ落ちた。
セブルスはジェームズの涙を拭いながら微笑んだ。
「ハリー…パパは泣き虫だな…」
セブルスの頬を涙が伝った。
「僕は大丈夫だ、ジェームズ。お前との子を授かった。それだけで幸せだ。これからどんな不運にだって耐えられる」
「たとえ運命の女神に見放されても」
「幸福を取り上げられても」
「取り戻すさ」
「この子に」
「ハリーに」
「僕たち二人分の幸せを…」