罪と罰と幸せと 鹿猫


「リーマス!!遅くなった!!」

シリウスが病院の廊下を走っている。人里離れた廃れた病院の床が軋む。

「男の子だ!」

リーマスが目に涙を溜めてシリウスの手を取り、飛び跳ねた。

「本当か!」

シリウスはリーマスを思い切り抱き締め、体を持ち上げくるりと回った。

「ジェームズは?」

「中にいるよ」

セブルスはダンブルドアの立会いの下、極秘の出産を遂げた。
男の子はハリーと名付けられた。

「ジェームズにそっくりだな」

シリウスが眠っている小さな顔を覗き込んだ。

「瞳の色見た?緑なんだよ!セブがアニメーガスになった時のあの色」

ジェームズは嬉しそうにセブルスの頬に口付けた。
セブルスは微笑んで、眠る子の頭をそっと撫でた。

ハリーはダンブルドアが連れてきた乳母とセブルスの元を行き来した。
乳母の腕でぐずり、セブルスに抱かれては機嫌を直し、一週間が過ぎた。

「ジェームズ、セブルス」

ダンブルドアが厳しい表情で二人の前に立っていた。

「分かっています」

セブルスが青い目をしっかりと見つめた。

「少し時間をください…ちゃんと…」

ジェームズがハリーを抱くセブルスの肩を抱き寄せた。

「よろしい…外には出ずに隣の部屋を使いなさい」

三人は寄り添いながら隣の部屋へ入った。

八角形の部屋はガラス張りになっており、朝の光が木々の間から差し込み部屋にも光を落としていた。
セブルスは部屋の真中まで歩いて行き、森を眺めた。
鳥の声も届かない静まり返った部屋で、ジェームズが扉を閉める音だけがした。
ジェームズは無言でセブルスの後ろに立った。

沈黙が流れる。

「ジェームズ、泣く時は眼鏡を外せ」

セブルスの背後で眼鏡をたたむ音が聞こえた。
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