罪と罰と幸せと 鹿猫
ジェームズは何かにつけてセブルスの大きなお腹を触った。
ひざまずき、嬉しそうに耳を当てる。
「不思議だな…ここに一人いると思うと…」
セブルスが感慨深げに大きなお腹を撫でた。
「ね!」
ジェームズも一緒になってお腹を撫でた。
朝起きるとジェームズはセブルスにおはようのキスをし、お腹にも声を掛け手を当て、口付けた。挨拶はいつも二人分。階段は上りではセブルスの後ろを、下りではセブルスの前を歩いた。
「ほらシリウス!」
夕食後のポッター家でリーマスはシリウスの背を押した。シリウスは手を所在無げに組み合わせている。
「セブルス、シリウスが触りたいんだって」
リーマスが嬉しそうに笑った。
シリウスとリーマスは今だに子供についての結論を言わずにいたが、目の前の二人の幸せを心から喜んだ。
目を逸らしながらも俯き、組んだ指を動かしているシリウスにセブルスは微笑んだ。
「触ってみろブラック」
セブルスはティーカップを置き、ゆっくりと立ち上がった。
シリウスが跪き、大きな手の平をそっとセブルスのお腹に当てた。
「すごいな…パンパンだ…」
リーマスとジェームズが笑った。
「耳を当ててみていいか…?」
シリウスが顔を上げた。
「ああ…」
シリウスは耳を当てようとした。
「ちょっと待て」
「?」
セブルスは上着をまくった。シリウスはその白い肌に思わず目が泳いだ。セブルスはその様子に笑いをこらえながら、両手でシリウスの頭を引き寄せ、きれいに張った大きなお腹に押し当てさせた。
シリウスが真剣な表情で瞬きをした。
「コポコポいってる…」
顔を離し、手の平で熱心に触った。
「ブラック…ジェームズの子だ。名付け親にならないか?リーマスも、二人で考えてくれないか?」
「そうだよ!」
ジェームズが立ち上がった。
「ね!二人で僕たちの子供に名前を付けてよ!」
シリウスとリーマスが驚いて顔を見合わせた。
「ホント!?」
「いいのか!?」
ジェームズとセブルスは頷いた。
リーマスがにこにこしながらセブルスのお腹に耳を当て、ジェームズも同じように耳を当てた。