罪と罰と幸せと 鹿猫
「ロンどうしてあなたが知っているの?」
三人はハリーが用意した必要の部屋にいた。
ハーマイオニーの問いかけに、ロンが遠くを見ながら話し始めた。
「前にパパが言っていたのを思い出したんだ。あの時は…珍しくパパが酔っていて、どうしてそういう話になったのか全然分からないんだけど、昔付き合っていた人とその魔法について調べたことがあるって言ってた」
「あなたのパパは男の人と付き合っていたの?」
「知らないよ。ただ金色の髪をした綺麗な人だったって言ってた」
「それで?」
ハリーがその先を促した。
「うん。結局そういった魔法があるってことは分かったんだ。古い魔法で、そのおかげで一度滅びかけた魔法族が子孫を残したって…ただ、すごく難しくて、危険で…もう誰も使っていないし、その魔法自体がもう存在していないじゃないかって…」
「いや…ある。たぶんダンブルドアなら知ってる…」
ハリーは直感で言った。ハーマイオニーがハリーを制止させ、ロンを見た。
「パパたちはその魔法の危険性を知ったんだ…」
ロンはそこで言葉を切った。
「どんな?」
「運命の女神から見放されるってパパは言ってた。その魔法で本来ならば曲げちゃいけない運命だとか、自然の流れだとか秩序をいじくるわけだから、その報いを受けなきゃいけないって。あらゆる幸運を取り上げられ、常に不運に見舞われる。呪われた者になるんだ。そして特に呪文をかけた者が非業の死を遂げる。呪文を受けた者も。子供は親から引き離され、それぞれが試練を受ける。不運は側にいる者も全て巻き込んでゆく。最悪の魔法なんだ」
側で聞いていたハーマイオニーがショックを隠しきれず、口元を押さえている。
「…僕の父さんだ…」
ハリーが呟いた。
ロンとハーマイオニーがハリーを見た。
「僕の父さんはそれで…」
「何を言っているの…?ハリー?」
「僕の産みの親はスネイプだ」
沈黙が流れた。
「…そんなこと…ありえないわ…」
「憂いの篩で見ただろ?僕の父さんとスネイプを…」
二人は黙った。
ハリーが突然立ち上がった。
「確かめてくる!」
ハリーはそう言うなり、二人の言葉を待たずに走り出した。