罪と罰と幸せと 鹿猫
「リーマス…」
帰り際、リーマスはセブルスと歩いた。後ろにシリウスとジェームズがいる。
「僕のこと気にかけているんでしょ?」
リーマスが微笑んだ。
セブルスは思わず目を逸らせた。
気にかけているということが、リーマスを哀れに思っていることの証に思えて、一瞬でもそれを感じた自分が恥ずかしくなった。
「シリウスもきっとそうだよ」
リーマスはくすりと笑った。
「僕が羨ましく思って落ち込むんじゃないかって。僕はね、君に子供ができて本当に嬉しいんだ。だって大好きな友人が一人増えるんだよ?自分のことのように嬉しい。ホントだよ。僕はいつも何かに比べて自分の幸せを測ったことがない。だから、僕の大好きな人たちの幸せがまるで自分のことのように嬉しいんだ」
セブルスは足を止めた。
「リーマス」
二人に追いついたシリウスとジェームズも足を止め、セブルスを見つめた。
「もし…望むなら…」
セブルスはリーマスの目を見つめながら、ローブのポケットに手を入れ、クリスタルの小瓶を取り出した。
「セブルス!何で君が持ってるの!?」
ジェームズが大声を出した。
「僕も…実はお前がダンブルドアの元へ行く前に、行っていたんだ…僕も…お前との子が欲しかった」
「どうやって!?」
ジェームズは嬉しさよりも驚きをもってセブルスに詰め寄った。
「土下座した」
「土下座で!?」
「そうだが?」
(僕は命かけちゃったよ…)ジェームズは心の中でさめざめ泣いた。
「おい、ジェームズ説明しろ」
シリウスががっくりと肩を落としているジェームズに問いかけた。
「…OK…ただし」
ジェームズは急に真顔になった。
「リスクは高い」
シリウスは窓辺で夜風に当たっているリーマスに近づいた。
その姿を背後から抱き締める。ふさふさした明るい茶色の髪はすでに冷たくなっていた。
「また泣いているのか?」
シリウスは冷えた体を温めるようにリーマスを抱きすくめ、耳元に囁いた。
「ううん…」
リーマスが首を振り鼻をすする。
「お前はいつも一人で考えようとする…リーマス。お前は一人じゃないんだ。二人で考えよう」
シリウスは力強く言うと、リーマスを自分の方に向き直らせ、顔を覗き込んだ。
リーマスは頷き、シリウスの首に腕を回した。