罪と罰と幸せと 鹿猫
ハリー、ロン、ハーマイオニーはスネイプの教室で憂いの篩を覗き込み、スネイプのボガートと対決した思い出を見たことで30点減点された。
ハーマイオニーは落ち込んだが、それ以上にハリーの塞ぎ込み方はひどかった。
「恋煩いかい?ハリー?」
ロンが冷やかした。
ハリーは全く上の空でハーマイオニーに話しかけた。
「ねえ、ハーマイオニー、男の人って子供産める?」
ハーマイオニーが階段を踏み外した。
ロンが慌てて、腰をさすっているハーマイオニーを助け起こした。
「ハリー!あなたいくつ?そんなの子供にだって…」
「魔法でだ!」
ハリーは説得するつもりで語気を荒げながら二人の側に駆け寄った。
憂いの篩で、ジェームズとスネイプが恋人同士だということを知った。
ーこれではっきりした。僕の母はスネイプだー
「聞いたことないわ!」
ハーマイオニーが言い放った。
「あまりにも常識外れよ!いくら魔法がいろいろなことを可能にしているからって、そんな魔法一度も耳にしたことないわ!」
「…ある」
ロンが放心した顔で呟いた。
セブルスの下腹部は日増しに大きくなっていった。周囲は急に太ったのだと思った。時折見せる柔らかな表情も、ゆっくりと歩く姿も、太ったことによる変化だと信じて疑わなかった。シリウスとリーマスを除いては。
四人はポッター家の食卓でセブルスの淹れた紅茶を飲んでいた。
全員黙っている。
「えっと…」
ジェームズがセブルスをちらりと見た。セブルスは無言でタオルを一枚渡した。
「セブルスは妊娠してる」
シリウスとリーマスが紅茶を噴き出した。ジェームズとセブルスがそれぞれタオルを差し出した。
「ゲホッ何…ゲホッ何だって?ジェームズ?」
シリウスがむせて顔を真っ赤にしながらセブルスを見た。
「それ本当!?」
リーマスが手にかかった熱い紅茶をはらいながら二人を交互に見た。手をパタパタと振っている。噴き出すときに口元を押さえたのがいけなかったらしい。
「本当だ…」
セブルスが短く言った。
「僕の子さ」
ジェームズが誇らしげに胸を張る。
「うすうす気が付いていたけど、本当だったんだ~」
リーマスが嬉しそうに目を輝かせてセブルスの膨らんだお腹を見た。
その様子をシリウスが不安そうに見つめていた。