我が輩は猫である! 全員


しかし、セブルスは尻尾をパシンと振ると、リーマスの体の横を歩き、足元に丸まった。

「今夜は冷えるよジジ」

リーマスは辛抱強く言ったが、セブルスは目を閉じてしまった。
リーマスは根負けしてそのままばたりと横になった。

ーフン!冷えるだと?この毛皮が目に入らないのか?

セブルスは長く真直ぐな尻尾を身体に沿わせてあくびをした。
ジェームズたちに追いつこうと独りでアニメーガスに挑戦し、猫になったものの、体力消耗の激しさにセブルスは強い眠気に襲われていた。しかし、眠って意識を失うと元に戻るかもしれない。
セブルスは必死に全員が寝静まるのを待った。

ー寒いな…

背中の毛が逆立つ。

ー猫というのは寒さに弱いと聞くが、こんなに寒いものなのか…

きつく身体を丸めたが、毛の一本一本から夜気の冷たさが皮膚に入ってくるようだった。

ー仕方ない…風邪をひくよりはルーピンのとこで温まるしかない…

セブルスはトボトボと歩き、すでに眠っているリーマスの肩口に鼻を寄せ、毛布の隙間から潜り込んだ。
そしてそのまま泥のような睡魔に、瞼が上がることはなかった。

リーマスは薄目を開けた。

「セブルス」

身体を丸めるような体勢のまま眠りこけているセブルスに、リーマスは微笑み、肩まである黒髪を優しく指で梳いた。
制服のまま、その首には赤いリボンが付いている。

「知ってたよ…黒猫になった君を見つけた瞬間から。僕は嗅覚が人間よりもずっと優れているからね…匂いですぐに分かった」

疲れきって眠るセブルスの頭を何度も撫でながら、リーマスは囁いた。

「ありがとう…君までアニメーガスになってくれて…さあ、君の本当の飼い主の元に帰してあげるね」

リーマスは起き上がると、セブルスの髪に口付け、靴とソックス、上着を脱がせると、細い身体をそっと抱き上げた。
ジェームズのベッドに着くと、眠っていることを確認し、毛布をめくった。
そしてジェームズの隣にセブルスを横たえる。
ソックスを入れた靴を置き、上着をハンガーにかけた。
毛布を元に戻すと、幸せそうに微笑んだ。

「おやすみ…セブルス、ジェームズ…よい夢を…」

リーマスは伸びをするとシリウスのベッドに歩み寄り、寝息を立てているシリウスの毛布に潜り込んで、その胸に寄り添うようにくっつくと目を閉じた。






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