我が輩は猫である! 全員
「いたたたた…」
「おい!リーマス!こいつをしっかり躾けろよ!!」
シリウスが両手で顔を押さえながら怒鳴った。
「もう!シリウス!猫は尻尾を掴まれると嫌がるんだよ!」
リーマスは黒猫を追った。
黒猫は談話室を駆け回り、窓に飛び乗った。
ーこれでも食らえ!!
セブルスは爪を目一杯出し、窓ガラスを引っ掻いた。
「ぐあ゙あ゙あ゙あ゙!!!」
「い゙や゙あ゙あ゙あ゙!!!」
談話室にいたグリフィンドール生が耳を押さえ、身悶えした。
ーフン!
セブルスは窓から降り、誇らしげに尻尾をピンと立て、スタスタと歩いた。しかし、リーマスにがっちりと取り押さえられた。
「はあ、はあ…ジジ…おいたが過ぎるよ…」
結局セブルスはグリフィンドール寮から出られず、またジェームズたちの部屋から出ることも叶わぬまま夜を迎えた。
「ジェームズどこ行くの?」
ローブの襟を正すジェームズに、リーマスが声をかけた。ナイトシャツをしっかり着て、寝る準備に入っている。
「セブルスを探しに行くんだ」
「そう…あ、でも今夜はやめた方がいいよ。先生方が見回りを強化してるはずだから。フィルチも昼間からはりきってた…」
リーマスの発言に、ピーターも口を開いた。
「そうだよ…それにジェームズ、君先週も減点・罰則を受けてるじゃない…?」
ピーターにまで言われ、さすがにジェームズも諦めた。何より手ひどく引っ掻かれた傷が格好悪い。
「そうだね…明日、朝一で会いに行こう」
「そうだよ…きっと明日にはセブルスも出てきてるはずさ…」
リーマスはあくびをしながらジェームズに手を振り、カーテンを閉めた。
「ジジ…寝よう」
ベッドの隅で目をギラギラさせている黒猫を手招きした。
ー早く寝ろルーピン
セブルスは皆が寝静まるのを待って逃げるつもりでいた。
「ほらおいでジジ」
セブルスは後ろ足を突っ張らせながら抵抗したが、リーマスはずるずると前足を引っ張り、枕元に座らせると、毛布をめくって中に入るよう促した。