我が輩は猫である! 全員
ぺったりしていた耳がピンと立った。
「リーマス!猫食ったか?」
シリウスがベッドを覗き込んだ。
「僕は食べてないよ!!」
リーマスはびっくりして首を振る。
「お前が猫を食ってどうする。猫飯食ったかって聞いてるんだ」
シリウスは半ば呆れながら黒猫を見た。やはり唸っている。
シリウスは負けじと猫に顔を突きつけた後、シーツに散らかっている菓子を見てため息をついた。
「ミルクは?」
シリウスが同情したような声で言った。
「あ!忘れてた」
リーマスは枕の隣に置いた瓶と皿を取り、ミルクを皿に注いだ。
黒猫は警戒しながらも舌を付け、ミルクを舐めた。
ー助かった。あれを完食せずに済んだ…ブラック、貴様が動物(だけ)には好かれる理由がなんとなく分かる…
ミルクを飲む仕草を、リーマスがにこにこしながら眺め、シリウスとジェームズもその姿を覗き込んでいる。
セブルスは強烈な視線を感じ、顔を上げた。
「にゃッ!」
ー見るな!貴様ら!
セブルスは急に恥ずかしくなり、舐めるのをやめるとベッドの隅に逃げ込んだ。
「満足したみたい」
「じゃあ談話室行こうよ!」
ジェームズの掛け声で、四人は談話室へと向かった。
談話室で黒猫は何かと注目を浴びた。
「すごいね、エジプトの猫みたいだ」
フランク・ロングボトムが頭を撫でる。
見せ物のようにテーブルに乗せられ、セブルスは固まった。
「目がとってもきれい」
リリーが顔を覗き込む。
「君と同じ色だね」
リーマスが楽しそうに言う。
「ルーピン先輩の猫ですか?」
クリービーが前足を強引に持ち上げ、肉球を触りながら興味深そうに聞いた。
「ん~…正確には違うけどね…」
あいまいな返事をしたリーマスにシリウスがそっと耳打ちした。
「おいリーマス、飼い主に見つかったらどうするんだ?」
「そうだね…まだ見つかっちゃまずいね。こんなに可愛いんだもの」
そう言うなり、黒猫を隠すようにテーブルから下ろし、膝に乗せた。
セブルスは内心ホッとしながらも、逃げ出す隙を探していた。
ーなんとかあの扉が開いた瞬間に抜け出せないものだろうか…
ちらちらと扉のほうを伺う。
その様子をリーマスが敏感に察した。