我が輩は猫である! 全員
ー猫というのはこういう高い場所から落ちても、着地できるんだったな…しかし…高いな…
黒猫はリーマスのベッドから、床とそこに敷かれた絨毯を見下ろしながら考えていた。
ーだが、ここから脱出し、せめて自分の寮には戻らないと…ああ、むやみにアニメーガスなどに挑戦するんじゃなかった…
「にゃッ!!」
突然ドアが勢いよく開き、黒猫セブルスは飛び上がった。
「お待たせ~♪」
リーマスが肩で息をしながら部屋に飛び込んできた。
セブルスはベッドの隅に逃げた。
「ご飯を持ってきたよ」
リーマスはベッドに上がり、胡坐をかくとローブのポケットからくすねたものを一つ一つ並べて見せた。
「……」
ー誰のご飯だ?ルーピン。それは人間もご飯として食さないぞ…
きれいに並べられたビスケットにチョコレート、スナックを絶望的な眼差しで見つめた。
「どうぞ!」
リーマスがにっこり笑う。
「……」
セブルスはうなだれた。
「お食べよ」
ー殺される
「もしかして…」
リーマスは何か思いついたようにセブルスの顔に近づいて、その緑の目をじっと見つめた。
ーそうだ!僕はセブルス・スネイプという人間だ!
「僕の手からじゃないと食べないのかな?」
ー違~う!!!馬鹿か貴様は!それ以前に猫は基本、菓子を食わん!
セブルスは低く唸ったが、リーマスには全く聞こえないらしく、鼻歌を歌いながら、菓子の包みを丁寧にはがし始めた。
「はい♪」
小さなチョコレートを手のひらに乗せ、顔を背ける鼻先に持っていく。
ールーピンせめてクッキーにしてくれ…
「食べないと君を食べちゃうよ。君の肉は柔らかそうだ」
ー!!!
冗談に聞こえないリーマスの言葉に、セブルスは覚悟を決めて白い手のひらに乗ったチョコレートに鼻先を付け、小さな口を開けて、ぱくりと食べた。
ーうううう、この牙にめり込む軟らかさ…舌にまとわりつくヌメヌメ感…耐えられん…
「おいしい?」
リーマスがにこにこしながら頭を撫でる。
きれいに尖った耳はすでにぺったりと伏せている。セブルスは泣く泣くチョコレートを飲み込んだ。
「次はどれがいい?」
しなやかな体をふわりと持ち上げ、膝の上に乗せた。急いで下りようとしている猫特有の少し出た胸を押さえ、再び強引に座らせる。
セブルスは心の中でさめざめと泣いた。
ークッキーにしてください。
その時ドアが開き、ジェームズたちが戻ってきた。