我が輩は猫である! 全員
明日を日曜にひかえた食堂は、いつになく騒がしい。
生徒たちは何をして過ごすのか、誰を誘うのか、寮から寮へ誘いのラブレターが飛び、食事を切り上げて他のテーブルに足を運ぶ生徒も目立つ。
ジェームズは心そこにあらずで、スリザリンのテーブルを熱心に見渡していた。
「リーマス、それを持っていくのか?」
ポケットにビスケットやチョコレートを詰め込んでいるリーマスを、シリウスは呆れ顔で見下ろしていた。
「そうだよ」
事もなげに言う。
「あのな、相手は猫だぞ、猫といったらツナだのチキンだの、肉系じゃないのか?」
「そうなの?」
「あ!ネズミがいるぞ!」
シリウスは目を輝かせてピーターを見た。
ピーターが思い切りむせた。その背中をリーマスがクスクス笑いながら叩いた。
「ねえ、セブルス見なかった?」
ジェームズが口を開いた。
「いや、スネイプはお前の管轄だろ?」
肉を頬張りながらシリウスが答えた。
「おかしいなあ…今夜からデートなのに…」
「それだ、逃げたんだな」
「…言ってくれるじゃないかシリウス」
ジェームズは恨めしそうに楽しげな顔を睨んだ。
ひととおり食事を終えたリーマスが慌ただしく立ち上がった。
「僕先に戻ってるね!ジジにご飯をあげなくちゃいけないから」
「リーマス!」
シリウスがリーマスの襟首を掴み、皿と牛乳瓶を差し出した。
「ミルクぐらい持ってってやれ」
憮然としながらも動物には甘いシリウスに、リーマスはくすりと笑い、両方を受け取ると耳元に唇を寄せ、シリウスだけに聞こえるような小さな口付けを落とした。
シリウスがリーマスを見上げた。
「なんでお前が照れてるんだよ!」
シリウスは恥ずかしげに微笑む顔に、内心理性をフル稼働させ、明るい茶色の髪をクシャクシャにした。
その光景にジェームズとピーターが同時にため息をついた。