リディクラス⁉ 全員
「シリウス!!僕は情けないよ!!」
リーマスがかんかんに怒って呪文を唱え、ボガートをクローゼットに叩き込むと、シリウスを睨みつけた。
シリウスはリーマスに抱きついて半べそをかいている。
「リーマス~恐かったよ~やつが…やつが…」
「僕はボガートを平気で抱き締める君がこわいよ!!」
そばではセブルスが今にも呪いを放ちそうな形相でシリウスを睨みつけていた。
「よし!次は僕だ!!」
ジェームズが勢いよく立ち上がった。
セブルスはすかさず襟首を掴んだ。
「待てポッター!貴様に恐いものなんかあるのか!?」
「もちろんあるさ!たくさん…」
ジェームズは振り返り、真剣な表情を作ったが、口元が笑いをこらえるように引きつっている。
セブルスは嫌な予感がした。
「ピーター、ドア開けて~」
必死でしがみつくセブルスを半ば引きずりながら、クローゼットの前に立った。
ピーターはおそるおそる扉の把手を緩めた。
「…やはり…」
セブルスがジェームズの隣で絶望的な声を出し、黒いドレスを着た自分と瓜二つのボガートを見つめた。
ジェームズは瞳をキラキラさせて杖を振った。
「リディクラス!」
今度は黒いドレスが華やかなグリーンのチャイナドレスに変わった。
細い腰が強調され、艶めかしく白い脚がちらついている。
「おおー!!」
嬉々とジェームズが声を上げた。
「消せ!今すぐ消せポッター!!」
セブルスは目をそむけながら大声を出した。
「リディクラス!わお!!」
真っ赤な牡丹の花を黒髪に差し、微笑むセブルスがいた。恥じらうようにうつむく。
バスローブによく似た衣服の袖は腰まで垂れ、黒綸子の帯が腰に巻き付いている。肩のラインが浮き出て、腰から脚までの細い輪郭が妖しく際立っている。
身体にまとわりつく赤い服は絹のようだった。
「なんておそろしいんだ!」
めまいを起こしたように、ジェームズが自分の髪を掻き上げた。
絹の着物を身にまとったセブルスも艶やかに微笑んで、髪を掻き上げた。
そばではリーマスが、呆然と艶姿を見つめるシリウスに平手打ちを食らわせ、目隠しをしていた。