リディクラス⁉ 全員
パチパチとリーマスが拍手を送る。ジェームズも少しつまらなそうにしながら、腰に手を当てて「上出来!」と言った。
「リーマス!やるかい?」
ジェームズが杖を振った。
「ああ!」
リーマスは笑いながらぴょんと机から下り、クローゼットの前に立った。
目を閉じ、深呼吸をする。
「いいよジェームズ」
ポンフリーが出てきた。ハグリットよりも大きく、両腕に注射器を何本も抱えている。リーマスを見下ろし、つかつかと歩み寄った。リーマスは杖を掲げた。
「リディクラス!」
ポンフリーがリーマスと同じ背丈になり、エプロンをつけ、両手には板チョコをたくさん持っている。
可愛らしい姿にリーマスはくすくす笑った。
その光景を見ていたロンが首を傾げた。
「ルーピン先生の恐いモノって月じゃないのか…?」
ハリーがリーマスの笑顔を見ながら口を開いた。
「たぶん…この時は変身が恐くなかったんだよ…ほら、言ってたじゃないか、父さんたちが動物に変身するようになってずっと楽しいものになったって…」
「そうね…ルーピン先生とっても楽しそう」
「シリウス!次は君がやりなよ!」
リーマスが笑いながらシリウスを見た。
ジェームズも笑いながらシリウスを手招きし、自分が立っていた扉の脇をリーマスに譲ると、仏頂面のセブルスの隣に落ち着いた。
「OK!」
シリウスが優雅に立ち上がった。髪を掻き上げ、杖を抜く。
ガタガタと鳴っていたクローゼットが静かになった。
シリウスは口元に笑みを浮かべ、杖で肩を叩きながら片足に体重をかけて立っている。
扉が軋みわずかに開いた。
見下すように余裕の笑みを称えているシリウスの目に、白い指が見えた。
指はそのまま扉の淵をなぞるように滑り、きゅっと掴むとゆっくり半分ほど開いた。
肩まで伸びた黒髪がゆらりと見え、白いシャツに包まれながらも華奢な肩が扉にしがみつくように出てきた。
頬を上気させ、悩ましげに眉根を寄せたセブルス・スネイプが、はだけたシャツを片手で掴みながらふらふらと現われた。
「ぎゃあああああ!」
シリウスが絶叫した。