リディクラス⁉ 全員
「いいじゃんセブ!たまにはみんなで遊ぼうよ!」
眼鏡の少年は楽しそうに一回り小柄な少年の身体に腕を回している。勢いよく跳ねた黒髪に生き生きした表情は、誰もが目を引くような雰囲気を帯びていた。
ハーマイオニーが二人を見ながら呆然と呟いた。
「ねえ…“セブ”ってもしかしてスネイプ先生…?」
ロンが目を丸くした。
「まさか!あれが!?抱きついてるのはハリー、君のお父さんだよな?君と同じ顔だぜ」
ハリーはスネイプの姿を食い入るように見つめていた。
「ハリー?おいハリー?…ハーマイオニー、ハリーに忘却術でもかけたのか?」
「そんなわけないでしょ」
「でも見てごらんよ、このふぬけた顔」
ロンはハリーに聞こえるようにわざと耳元で言った。ハリーは全く耳に入っていないかのように、漆黒の髪と白い肌に細い腰を捩らせて腕から逃れようとしている自分と同い年ぐらいの少年を見つめていた。
「ああ…」
ハーマイオニーがハリーの顔を覗き込んで言った。
「ロン、どうやら忘却術が必要のようだわ…」
手遅れの患者を見るように、ハリーの顔の前で手の平を左右に振りながら呟いた。
「ボガートか!!」
突然の声に、ロンとハーマイオニーが飛び上がって振り向いた。
埃っぽい椅子に無造作に腰掛け、長い足を組んでいる少年が大声で笑った。
制服のシャツのボタンを二つほど開け、ネクタイをわざとだらしなく結んでいる。目にかかるように軽く落ちた黒髪に、悪童らしい強い眼差し、かなり整った顔立ちはハリーたちと同じぐらいの年にしては、ひどく大人びて見えた。
「シリウスだわあの人」
ハーマイオニーが言った。
「うへえ、かっこつけてんなあ」
とロン。
「ろくでなしの色男ってとこね」
「誉めてるのかい?それ」
ハーマイオニーは肩をすくめた。
「ジェームズ捕まえたのかい?」
明るい茶色の髪の少年が、ハリーの父親ジェームズに話しかけた。
ふさふさした髪は耳を隠し、襟足で少し結んでいる。制服を着崩すことなく身にまとい、繊細そうでいてどこか茶目っ気のある表情はハリーたちにもすぐ分かった。
「ルーピン先生だ!!」
ロンが声を上げた。