あなたとサラダ 鹿猫、犬狼
ジェームズが走ってくる。虹色の紙袋を小脇に抱えている。
「セブ!待たせてごめん!あれ?本買ったんじゃないの?」
ジェームズはセブルスを見下ろした。
「ああ、来週また寄る。本なら一人の時に見ればいい」
ジェームズは微笑んで紙袋を差し出した。
「並んだのか?」
セブルスは虹色のバウムクーヘンを覗き込んだ。
「並ぶのは一人の時でいい」
ジェームズが笑った。
「アメリアさんがいてね、ついでに二つ買ってもらったんだ」
そう言ってウインクする。
セブルスはジェームズの手を取ると指を絡め歩き出した。
ジェームズが少し驚きつつも、セブルスが赤面しているのを見て、嬉しそうに指に力を入れた。
「何買うの?」
市場に着くとジェームズがはしゃいだ。
セブルスはポケットからメモを出した。
「まずは野菜だ」
「チーズは?」
「それはお前の好みだろう、まず野菜、チーズ、パンそれから痛みやすい肉と魚を買って帰るんだ」
「へえ~…教授お供いたします!」
ジェームズが胸を張った。
セブルスが笑う。
二人は市場を歩いた。
「ね!セブこれ何?」
ジェームズが聞く。
「ゴーヤだ」
「美味しいの?」
「美味いが苦いからな、リーマスは食えんだろう」
「甘いのは?」
「そうだな、カボチャととうもろこしか…」
「じゃあ、買ってこ?」
「明日のメニューにはないぞ…」
「セブなら大丈夫!」
「あのな…」
「デザートは?」
「リーマスに飯作ってこいと言えば事足りる」
二人は買い物を進めながら、肉屋に着いた。
ジェームズが右端の肉を指差して囁いた。
「シリウスに…」
「ラム肉か!」
「買っていこうよ」
ジェームズが面白そうに言った。