あなたとサラダ 鹿猫、犬狼
四人はポッター家で食卓を囲んだ。
「セブルスこれ火通しすぎじゃない?」
リーマスがチキンの匂いを嗅ぎながら言った。
「ろくに料理もできないお前に言われたくない」
セブルスが一蹴した。リーマスはいつもレアばかり食べている。
シリウスは黙って半ば夢中でチキンとパンを口に放り込んでいた。
ジェームズが突然口を開いた。
「ね!日曜みんなで海にピクニックにいこうよ!」
のん気な声にシリウスが顔を上げた。
「俺は仕事だぞ」
「大丈夫!明日牧場に休みを取りに行くか、当日羊を眠らせちゃえばいいだろう?」
シリウスはジェームズの言葉にため息をついて言った。
「羊たちに休みはないんだぞ。眠ったとしても、狼に食われたらどうするんだ?」
羊を案ずる真剣な口調に一同が爆笑した。
ひとしきり笑ったあと、リーマスが自分の髪の毛を数本抜いてムッとしているシリウスに見せた。
「毛針か?」
「違うよ。僕は妖怪じゃなくて人狼。これをどこか森の奥にでもくくりつけておけば、たいていの狼はそこに集まって動かなくなるよ♪」
シリウスはリーマスの毛をポケットに突っ込むと、明るい茶色の髪をくしゃくしゃと撫でた。
「じゃあ決まりだね!」
ジェームズが楽しそうに言った。
夜空を飛ぶふくろうが、突然の雨に高度を落とし屋根の下に滑り込んだ。
窓に雨粒が当たる音を聞きながら、ジェームズはベッドの中で髪を乱したセブルスにキスの雨を落とした。額にはうっすらと汗が浮かんでいる。
「…ジェー、ムズ…明かりを、消せ…んッ…」
セブルスはジェームズに身を沈められ、喘ぎながら手を伸ばした。
「どうして…君を、見ていたいのに…」
ジェームズは横に伸ばされた手を自分の指にきつく絡めると、そのままベッドを軋ませた。
「はッ…あッ…!!」
セブルスは耐え切れず顎を仰け反らせた。あらわになった白い首筋をジェームズが貪るように吸い上げる。
セブルスの体が跳ねた。
「…セブ…きれいだ」
ジェームズは自分の背に立てられた爪の感触を楽しみながら、セブルスの体を強く抱き締めた。