あなたとサラダ 鹿猫、犬狼
セブルスが呆れてリーマスを見た。
「お前の実家はここじゃないだろう?」
リーマスは構わず上がり込むと、椅子を引っ張り部屋の隅に壁に向かい合うように座った。
「シリウスったらひどいんだ。僕の料理が食べられないって言うんだよ」
リーマスはくるりと振り返ると二人に訴えた。
二人は返す言葉もなくうなだれた。
壁の耳からドタドタと音が聞こえ、洗濯機の回る音がする。
「おいリーマス、ブラックが洗濯を始めたぞ」
セブルスが言った。
「どうせすぐここに来るさ。シリウスは電球一つ替えられないんだ」
「当たり前だろう、電球なんて使わないからな…」
セブルスが言い終わらないうちに玄関のベルが鳴った。
ジェームズが楽しそうにパタパタとドアの前に立ち、高い声を出した。
「はあい、どちらさま~?」
「俺だジェームズ。リーマスがそっちに来てるだろ」
「俺ってだあれ?」
「シリウスだ!!開けろジェームズ!!」
「合言葉は?」
「知らねえよ!!ドア蹴破るぞ!!」
ジェームズが笑いながらドアを開けた。
「おかえりダーリン♪」
ジェームズはシリウスに抱きついた。
シリウスはジェームズをそのまま引きずり、テーブルの前まで歩いた。
「リーマス」
シリウスがリーマスの背中に声をかけた。リーマスがぴくりと反応する。
「戻ってこい」
シリウスは強く言った。リーマスはプイと顔を横に向けた。
「リーマス…頼む、洗濯機の水が止まらないんだ」
シリウスが真剣な声を出した。
セブルスはリーマスに穏やかに言った。
「戻ってやれ、リーマス」
リーマスは素直に頷いて言った。
「ねえセブルス」
「なんだ」
「洗濯機の水ってどうやって止めるの?」
セブルスが叫んだ。
「馬鹿か!貴様ら馬鹿か!!!」
三人はバタバタ走り出した。
「だって洗濯機の水が止まらなかったことなんてないよ!!これだからマグルの機械ってイヤなんだ」
「お前がぐるぐる回るあれが面白いというから、譲ってやったんだろうが!!!」
ジェームズがのんびりと三人に呼び掛けた。
「セブ~水止まったら、みんなでご飯食べよ~」