あなたとサラダ 鹿猫、犬狼


「なあポッター、こいつに飯の作り方を教えてくれよ」

シリウスはセブルスが作ってきたローストビーフをパンにはさみながら言った。

「そうだな、こっちも毎日四人分の夕飯を作るのも大変だ…。リーマス、明日から一緒に夕飯を作るように」

セブルスがリーマスを見た。
リーマスはなぜそんな話が出てくるのか分かっていないらしく、きょとんとしたまま頷いた。

「あれ?シリウスこれ食べないの?」

ジェームズがラム肉の香草漬けを指差した。

「…いや、それはいい」

シリウスが珍しく言い淀んだ。

「なんで?」

ジェームズが楽しそうに聞いた。

「なんつうか、毎週見てるとだな、こう、満足するというか…」

「食べなよ、美味しいよ」

「いや、その」

「かわいそう?」

ジェームズがニヤニヤしている。

シリウスが開き直った。

「ああ!そうだ!ジェームズお前もやってみろ!かわいいぞ!」

ジェームズが爆笑した。
セブルスとリーマスも笑っている。
シリウスはムスッとしたままパンをかじった。



「いい日和だな」

セブルスがティーポットを傾け、波打ち際で遊んでいるリーマスと黒い犬に変身したシリウスを眺めた。

「うん」

ジェームズはセブルスが煎れた紅茶を飲みながら答えた。

「明日も晴れか?」

セブルスは背もたれに体を預けながら穏やかに言った。


「もちろん!そして、僕達もね…」

ジェームズはセブルスに顔を近付けた。

「今日もキス日和だ」

ジェームズが悪戯っぽく笑って囁いた。そのままゆっくり目を閉じる。
セブルスも苦笑しながらゆっくり目を閉じた。


白い砂に二つの影姿が重なった。



end

綺緒様に捧げます



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