あなたとサラダ 鹿猫、犬狼
翌日も快晴だった。
リーマスが大喜びで海岸に抜ける細道を走る。
振り返り、三人を手招きした。
「リーマス!前を見て走れ!コケるぞ!」
シリウスが手を振り返しながら呼び掛けた。手には大きなバスケットを持っている。
シリウスの後ろをジェームズとセブルスが並んで歩いていた。
リーマスが嬉しそうに声を上げた。
「すごいよ!海だ!」
その言葉に三人が笑う。
小石の多い細道がサクサクとした白い砂に変わり、木々の間から青い海が見える。
潮風が吹き抜けた。
ジェームズが気持ち良さそうに風を吸い込んだ。
「晴れてよかったね!」
海を見つめながら、隣を歩くセブルスに話しかけた。
「ああ!」
セブルスも木々の間から覗いている海を眩しそうに眺めた。
シリウスが待ちきれずにリーマスの後を追って走り出した。
風は冷たかったが、陽射しが暖かく海は穏やかだった。
ジェームズは砂浜に着くと杖を振り、簡素なテーブルと椅子を出した。
セブルスも杖を振り、その上に白いテーブルクロスをかけると、ジェームズがまた杖を振り、白い布に虹色の小鳥模様を施した。セブルスが今度はその小鳥に小さな花をくわえさせた。
杖を振り合った二人は顔を見合わせて笑った。
リーマスは打ち寄せる波に夢中になっている。
シリウスがそれを見守るように背後に立っている。
海水に手を入れたリーマスが声を上げた。
「すごい!海の水があったかい!」
「この時期の水はまだ夏の温かさを残してるんだろ」
シリウスが愛しそうに目を細めた。
四人はテーブルを囲んでバスケットを開けた。
「リーマス、飯を作ってきたか?」
セブルスが聞いた。
「もちろん!ほらこの通り!」
リーマスは得意げにバスケットを開いてみせた。
三人はバスケットを覗き込んだ。
ジェームズが笑い、セブルスが苦笑している。シリウスは頭を掻きむしってうなだれた。
チョコレートケーキ、チョコレートプティング、チョコレートムース(以下省略)
「それは食後にしよう」
セブルスが言った。
リーマスは不思議そうに首を傾げた。