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終わらない歌 鹿猫


「セブルス!!何なんだ毎日毎日!おまえが家に帰ってきてから毎日フクロウの来襲だ!!」

セブルスは怒鳴り散らす父トビアスから目を逸らし、無言でジェームズのフクロウを両腕に抱えると、自分の部屋に駆け上がった。

リビングからは相変わらずトビアスの怒鳴り声と、母アイリーンの金切り声が聞こえる。

ドアを閉めると鍵を掛け、フクロウの足から羊皮紙を外して開いた。

『セブ!元気?夏休みに入ってみんなはバカンスだけど、僕は毎日拷問のようだよ。君に会えなくてね。早く君に会いたい。すぐに行くけど…。君の顔、君の声、君の体温…君は今、何を考えているの?(以下同じような内容が3000字)』

セブルスは羊皮紙を握り締め、やるせなさに息を詰まらせ、窓から空を見上げた。

「…ジェームズ…」

フクロウが相変わらずセブルスを見つめたまま、机の上で待っている。

夏休みに入ってから、ジェームズのフクロウは首から丸い小さな鏡のような首飾りを付けるようになった。
おそらく、生徒達の間で流行っていることなのだろう。
セブルスは羊皮紙を出し、11回目の返事を書いた。

『こっちはせいせいしている。貴様もバカンスを楽しむんだな!』

毎日同じような内容を書いた。
自分を見つめているフクロウの足に手紙をくくりつけると、箱から干し肉を出し、フクロウにくわえさせた。

「お前はいいな…自由に空が飛べて…僕もお前のように…会いに行けたら…」

独り言のように話しかけたあと、小さな声でジェームズの名を囁いた。

ー…会いたい…

フクロウが窓から飛び立ち、夕闇に消えて行った。

薄暗い部屋のベッドの端にうずくまるように座り、日々を過ごしていた。
課題はとうに終わっていた。予習用の勉強道具だけを机に出し、あとはいつでも夏休みの終わりがきてもいいように、トランクには荷物を詰めてある。

セブルスは制服を脱いで夜着に着替えた。夏休みに入ってからも毎日制服を着ている。それ以外に着たいものはなかった。

階下からまた父の怒鳴り声と、食器の割れる音が聞こえた。

不協和音はセブルスの心を蝕んでゆく。

セブルスは壁にもたれたまま、目を閉じた。
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